子どもには、将来のためにも、子どもの希望を叶えるためにも、満足のいく教育を受けさせたい!親ならきっとそんなふうに考えることでしょう。しかし、金銭面が不安というご家庭も少なくありません。
日本は所得が決して低くないながら隠れ貧困家庭の多い国なのです。両親が「生活が大変」と零していれば子供だって自分の進学に遠慮が出てしまうことでしょう。そこで検討するのは、やはり「奨学金」ではないでしょうか。
奨学金を利用したいけれど、奨学金を借りるにはどうしたらいいのかという疑問にお答えします。
奨学金とは?基礎の基礎
そもそも、奨学金とはどういうものでしょうか。
学校の成績は優秀で、将来への目標もある。そのためには、大学や専門学校へ通って、勉強をしたい。でも、様々な理由で、進学などができない場合があります。例えば、経済的な理由で、修学が困難な場合。そのような場合に、貸与したりあるいは給付したりして、修学の力になろうというしくみです。
経済的理由で修学が困難な優れた学生に学資の貸与を行い、また、経済・社会情勢等を踏まえ、学生等が安心して学べるよう、「貸与」または「給付」する制度です。
一般的に日本学生支援機構の奨学金が有名です。
奨学金といえば、自治体や企業、団体でも奨学金制度を設けているところもありますが、募集人数や利用人数の関係で最も有名で利用者が多いのは、この日本学生支援機構の奨学金です。昔は日本育英会と呼ばれていました。お父さんやお母さんにもおそらく馴染みの深い奨学金でしょう。
日本学生支援機構の奨学金は二種類!一種と二種
奨学金とは経済的な問題で前途ある学生の進学を諦めさせないようにと設けたものです。その中でも日本学生支援機構では、無利子の奨学金である第一種奨学金と有利子の第二種奨学金を設置しています。
第一種奨学金とはどんなもの?
第一種奨学金では、選考が厳しく第一種は成績が高校1年からこれまでの成績が3.5以上、在籍者の場合は学部学位の成績上位1/3以内と家庭の収入などが審査の対象になります。申し込みの条件が厳しく、申し込んだからといって必ず第一種の奨学金を借り受けることができるわけではありません。
第一種奨学金には「無利息」で、借りた分だけ返済すればいいという特徴があるため、とても人気があって競争率が激しいのです。厳しい専攻の中でさらに選考に合格しなければいけません。
第一種の奨学金はいくら支給される?
第一種奨学金は自宅から大学に通うのか、それとも下宿先から通うのかによって額が変わってきます。また、国立大学なのか私立大学なのかによっても変わってきます。
大学(国公立)
・自宅通学:月額3万円~45,000円
・下宿からの通学:月額3万円~51,000円
大学(私立大学)
・自宅通学:月額3万円~54,000円
・下宿からの通学:月額3万円~64,000円
短期大学(国公立)
・自宅通学:月額3万円~45,000円
・下宿からの通学:月額3万円~51,000円
短期大学(私立)
・自宅通学:月額3万円~53,000円
・下宿からの通学:月額3万円~6万円
参照
http://www.jasso.go.jp/shogakukin/seido/kingaku/1shu.html
第二種奨学金とはどんなもの?
第二種奨学金は、成績は平均以上で進学意欲のあるもの、特定分野に優れた資質があるもの、進学先での学修に意欲があり、学業が確実に修了できる見込みがある人物に与えられます。
第二種は第一種よりも選考基準はゆるやかとなっています。利息は、年3パーセントが上限となっています。利息が付くとはいえ、他の教育ローンよりも低く、景気などによって変動することもないので、手が出しやすいと言えるでしょう。
第二種の奨学金はいくら支給される?
第二種奨学金の貸与額は次の通りです。
大学
月額30,000円、50,000円、80,000円、100,000円または120,000円
短期大学
月額30,000円、50,000円、80,000円、100,000円または120,000円
私立の歯学部や歯学部に通う場合はさらに増額することも可能となっています。
参照
http://www.jasso.go.jp/shogakukin/seido/kingaku/2shu.html
奨学金の返還はいつからするの?
第一種、第二種ともに卒業した直後から奨学金の返済が始まります。したがって大学の場合、卒業し社会人になってまとまったお給料をもらうようになってから返済を始めることになります。一気に全額返済するのではなく、ローンの返済のように分割でこつこつと返済することになります。返済額は借入額によりますので、自分の返済についてシミュレーションしておくのがいいでしょう。
日本学生支援機構のホームページでは、返済額のシミュレーションができるようになっています。
関連記事:奨学金は「借金」であるという真実
奨学金の返還が難しいとき
大学を卒業したが、思ったほど給料が入っていない、まだ自分の収入では生活が難しいなど、奨学金の返済ができないときは、奨学金の返還猶予願い制度を利用することもできます。猶予期間は5年と決まっていますが、それまでに計画的に返済できればよし、それができなければ月々の返済を減額する方法があります。
返済が難しいという理由で連絡もせず、払わなかった場合は延滞ということになります。せっかく進学したのですから、返済も有効的な方法で返済していきましょう。
賢い借り方とは?奨学金利用のために覚えておくべきこと
奨学金といっても、日本学生支援機構以外にもたくさんの奨学金があります。どこの奨学金が自分に合っているのかを比較することも大切です。
奨学金の制度を活用しつつ、スムーズに返済できるよう上手に利用しましょう。そのためには、あなたの状況と照らし合わせてどの程度の支援金が必要なのか、どの程度なら無理なく返済できそうか、などを考慮しながら手続きを行っていく必要があります。
日本学生支援機構以外の奨学金も!新聞奨学生とは
新聞奨学生という奨学金制度もあります。大手新聞社が独自に設けているもので、進学前に申し込みをし、新聞配達の仕事をすることで、奨学金の制度を利用できるというものです。
新聞奨学生のメリットは、ずばり返還しなくてよいこと。他の奨学制度の多くが卒業後に返還をしなければならず、月に数千円から数万円の返済は経済的に大きな負担になりかねません。しかし、稼ぎながら奨学金を得ることになるので、負債を負う心配はありません。奨学金を、返済義務を負わずに得ることができる上、一部の新聞奨学制度では住居や食事も支給されることもあります。
ただし、やはり働きながら奨学金を得ることは、身体的負担と時間の制約を多く受けることとなります。早朝、学校へ行く前に配達をし、夕方も夕刊を配るという生活がほぼ毎日続くことになります。サークルやアルバイトを楽しみながらのキャンパスライフとはほど遠いものとなるでしょうし、油断すれば体調を崩したり、想像とかけ離れた生活に耐えかねて退学に繋がったりということにもなりかねません。
体調管理をしながら、数年間新聞配達と学業の両立を続ける覚悟が必要です。
大学独自の奨学金制度もある
大学には、大学独自の奨学金制度があります。
まず、給付型のものが挙げられます。入学試験や、大学の成績が優秀な人や、これらに当てはまる人でなおかつ経済的理由で学業の継続が難しい人が対象となります。
また、貸与する形のものもあります。経済的に勉強を続けることが難しい人に、卒業後の返済を条件に貸与するというものです。
そして、大学提携の教育ローンの制度です。在学中の利子に当たる学を奨学金として支給されます。卒業後、利子とともに返済していくことになります。
大学進学後、奨学金制度を希望する場合には、大学側に問い合わせて検討してみましょう。貸与型のものや、教育ローンは将来の返済も見越して借りることが望ましいでしょう。
特定の資格保持者に、奨学金を出す学校もあります。例えば、簿記や英語検定などです。学校によってはスポーツなどの部活動の成績によるところもあります。
また、看護系の専門学校では、貸与型の奨学金を設けているところもあります。卒業後は指定された病院に一定期間勤務すると返済免除となる場合もあります。
まとめ
奨学金について、大枠の理解をしていただけたと思います。
まずは、在学中の高校や進学予定の学校に問い合わせて、どの奨学金の制度を利用するか検討してみましょう。
経済的な不安をなくして、より充実した学生生活を送りたいものですね。
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