イオンカードって日本で最も人気があるカードの一つですが、それを運営しているイオンフィナンシャルサービスに関しては意外と知られていません。
今回はイオンフィナンシャルサービスがどんな会社なのかってことを解説します。
イオンフィナンシャルサービスとは
イオンフィナンシャルサービスはイオングループのハウスカードを発行する会社として 1981 年に設立されました。
日本最大の小売グループであるイオングループの店舗でのクレジット関連事業を行うための会社なので、イオングループが拡大するたびに、一緒になって成長してきています。
イオンの海外進出とともに、香港、タイ、マレーシアにおいてもクレジット関連ビジネスを拡大しています。
現在では、営業利益に占める海外事業の占有率は40%弱となっており、日本の金融サービス企業としては海外での事業展開に成功した企業の 1 つと言われます。
イオングループの収益源となっている
同社はイオングループの金融サービス会社であり、グループ利益の約 3 割を占めています。
イオングループは連結営業利益を 1,847 億円(2017 年 2 月期)から 2,900億円(2020 年 2 月期、中期計画最終年度、2017 年 5 月発表)としていて、イオンクレジットもグループの業績けん引役の 1 つと期待されているようです。
しかし、2016 年 3 月期以降、業績は伸び悩みと言わざるを得ない。背景には、イオングループの拡大ペースの鈍化、貸金業法改正、顧客からの過払い請求の増加、アジア経済の減速、事業領域の多角化に伴う収益性の低下、が挙げられる。
イオンフィナンシャルサービスの成長戦略
同社の事業はイオンカードセレクト(関連記事:イオンカードのポイント還元率!2倍Day、5倍Day、5%offを活用して跳ね上がる仕組み)のようなハウスカードから提携カード、他のクレジット事業、消費者向け商業銀行事業へと、高度化、多角化してきました。
経常利益ベースでは 2006 年度にピークを付けた後、貸金業法・割賦販売法改正、与信コストの増加、アジア経済の減速、が重なったため、減益基調が続く厳しい状況です。
ただ、その後、クレジットカード会社にとって有利な低金利環境を生かして、再度利益拡大方向へトレンドが変わっています。
この中期ビジョン実現のために、同社は経営指標として、トップラインの拡大、与信コストのコントロール、収益性の向上、資本の健全性を掲げています。
イオンフィナンシャルサービスの国内事業
イオンフィナンシャルサービスは国内事業の構造改革を実施しています。
仮に構造改革を達成できると、同社の売り上げは拡大する余力がかなりありそうです。
同社の主力事業はクレジットカードビジネスです。
主に、イオングループ店頭でクレジットカードを発行し、同社のカード会員になった後は、魅力的なロイヤリティプログラムを提
供し、カードショッピングの利用を促進ものです。
加えて、顧客サービスの一環としてキャッシングサービスを提供し、収益性を高めています。
同社のクレジットカード会員、キャッシング利用顧客はイオンを利用する主婦が中心であり、業界全体の中でも延滞比率は低いのです。
イオンクレジットサービスの顧客は良質と言えます。
提携カード事業も更に強化を進める予定です。
2016 年頃から新規提携先とのカード発行を再び積極化させています。
ガソリンがお得なCOSMO THEカード YAMAHAとの提携カード、kitakaとの提携カードなどいろいろ提携を活発化しています。
海外事業の動向
同社のアジア事業は日本の金融サービス会社の中でも特筆すべきものです。
海外展開は 1995 年の香港を皮切りに、タイ、マレーシアへと進出地域・国を拡大させました。
成長の原動力は現地に大幅に権限を委譲したことで、優秀な現地人材がアジア経済の消費拡大の恩恵を取り込み、売上・利益を伸ばしています。その後も、アジアの利益水準自体は拡大したが、2015 年度以降、利益水準はおおむね横ばいになています。
その理由は、アジア経済減速の影響、現地のコスト上昇、与信コストの増加による為替影響である。
同社の海外事業の経費率の推移をみると、
(1)オペレーションコスト(その他経費)が 2010 年度頃から高まっていること
(2)貸倒関連費用が 2013 年度頃から増加に転じていること
がわかります。
このうち、(1)の理由はアジア地域の人件費負担の増大です。
アジアの国の成長は急ピッチですから人件費も滅茶苦茶あがりますからね。
同社はそれまで比較的安価な労働力を活用して、労働集約的に営業拡大、債権管理を進めてきました。
しかし、労働コスト上昇を背景によって安価な労働力が使えなくなったので、より機械化したオペレーションを進めています。この際、日本での業務標準化ノウハウを活用、アジア全体での標準的なシステム開発しているので、国内と海外が相互に補い合っていい関係が出来ていることがわかりますね。
ただ、営業拡大のためには人員投入が必要であるため、営業コストは上昇していくことが見込まれています。
イオンカードクレジットの財務健全性
クレジットカード会社は金融企業なので財務の健全性は重要です。
現在の同社の事業モデルは、事業を拡大するためには大きなお金が必要で資本負担が重たい状況です。
強大なイオングループとのフランチャイズ関係を使って、業容を拡大する余地は大きいですが、銀行持株会社という構造なので自己資本比率規制を意識せざるを得ない状況です。
単純にバランスシートを拡大すればよいというわけではないのです。
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